そもそも人類の骨格・筋肉・関節の構造は、犬やネコや牛や馬のような4本の脚で歩く動物とほとんど同じです。つまり、基本的に人の体も4本の脚を使って歩くようにできているということです。そしてこの基本構造はほ乳類が現れてから2億年以上ほぼ同じです。人類の体は完全な4本脚用の体なのです。ですから、2本の脚で直立して立って歩くためには当然、筋肉や関節をかなり工夫して使わないといけません。それなのにこの工夫がきちんと身につかないまま成長していくため、腰を使った上半身の支え方に『錯覚や思い違い』が生まれてしまうようです。
錯覚・思い違いとは…
(1) 上半身の重みによって体が前に傾いて、腰椎も前に倒れていくと感じていること
(2) 前に倒れていく腰椎を背筋が引き起こしていると信じていること
ところが、実際には…
(1) 腰椎は元々後ろにそっているので、そこに上から重みがかかるとさらにそる。
つまり上半身の重みによって腰椎は後ろに倒れていくのが実情である。
(2) 後ろに倒れていく腰椎を引き起こせるのは、背筋ではなく大腰筋である
そのためにこのような事態におちいるのです。これ、人よんで『ぎっくり腰』!!!
80パーセント以上の腰痛の原因は不明です。つまり“医学的には正常な腰”に痛みが発生しています。
『病院と腰痛の関係』
このような原因不明の腰痛の犯人は背筋の暴走なのです。
では救いの神はというと、大腰筋です。
もう一つの錯覚・思い違い
体の前屈
(体を前にかがめる)には、この前屈が2種類あるということです。
その2種類とは
(1) 腹筋(腹直筋)による胸を前にたおす動作
(2) 大腰筋での腰を中心とした動作
なのですが、ほとんどの人が、より重要な (2)の動作の存在に気が付いていません。