関節の痛みとヒアルロン酸 その2

その1で、関節液の中のヒアルロン酸を増やすために最も大事なことは、関節を曲げ伸ばしする回数だということを説明しました。
そこで今回は、関節を曲げ伸ばしすることがなぜそんなに大事なのかをさらに説明します。

曲げ伸ばしが重要であることの3コの理由

① ヒアルロン酸の生産率をあげる

② 軟骨の細胞に酸素と栄養を与える

③ 関節を軽く柔らかくする

の「ヒアルロン酸の生産率と曲げ伸ばしの関係」はその1で説明しましたので、「軟骨の細胞に酸素と栄養を与える」から説明していきます。

軟骨の細胞に酸素と栄養を与える。

関節は、関節液で満たされた1つの密閉された部屋のようなものです。
天井と床がクッション性のある軟骨で、壁が伸び縮み・曲げ伸ばしのできる関節包(かんせつほう)だと考えてください。



軟骨には酸素や栄養分を運んで来る血管がありません。
そこで、関節を満たしている関節液が壁(関節包)から酸素と栄養分をもらい、それを軟骨の細胞に受け渡しています。
また軟骨の細胞の活動によってできた二酸化炭素や老廃物は関節液に捨てられ、それを壁(関節包)が吸い上げて取り除きます。

関節をじっと動かさないままでいると、軟骨のそばには二酸化炭素と老廃物、そして壁(関節包)の周囲には酸素と栄養分がそれぞれ集まってしまうことになります。
酸素・栄養分を軟骨に届け、二酸化炭素・老廃物を取り除いてもらうには、関節液を混ぜること・つまり関節の曲げ伸ばしが大事だということがわかっていただけたでしょう。

似たような組織はもう1ヶ所あります。

目の角膜です。

角膜にも血管はありません。レンズに血液が流れていたのではちらついて具合が悪いからでしょう。
角膜も生きている細胞です。空気から直接酸素をもらって、またそこへ二酸化炭素をはき出すことができます。
しかし栄養分や老廃物に関しては、軟骨の細胞と関節液の関係と同様、涙とやりとりしなければなりません。そして“まばたき”をすることで涙が入れ替わって“まっさら”になるわけです。

関節を長時間曲げ伸ばししないことは、“まばたき”をずっと我慢しているように過酷なことなのです。

の「関節を軽く柔らかくするには」その3で説明します。



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