骨は血流が豊富で新陳代謝の活発な組織です。あなたの知らないうちに、いたんだ部分が新しい骨に少しずつ入れ替わっていって、カラダ中の骨はだいたい5~10年で総入れ替えになると考えられています。
骨の新陳代謝というのはお家のリフォームのようなものです。具体的には骨を管理している細胞がいつも骨の隅々までチェックしていて、目に見えないぐらいの小さな小さなキズができたらすぐに見つけます。このキズはいったんできてしまうともう直すことはできません。そこで解体業者さんを呼んでキズの入った部分を取り除いてもらいます。解体業者さんは3週間ぐらいで作業を終えて撤収し、大工さんを呼びます。大工さんは解体されて穴のあいてしまった部分に新しい骨を作って元通りにします。その結果、キズの入った部分は新品になります。このような作業があちらこちらでおこなわれているので、骨は常に健康な状態に維持されています。
ところが閉経して女性ホルモンが無くなってしまうと、解体作業の方が暴走してしまうのです。具体的には、解体業者さんが撤収しなくなり、そのまま居座って骨を壊し続けてしまいます。解体業者さんは骨を解体しながら大工さんにも集合をかけるので、新しい骨もどんどんできることになります。しかしながら大工さんが新しい骨を作るためには、解体作業の4倍ぐらい時間がかかってしまいます。結局、最初にキズの入った部分には新しい骨がどんどんできていくのですが、解体業者さんが取り除いていく部分の穴が広がるスピードに大工さんが追いつけないので、新しい骨を作っても作っても骨に隙間ができていきます。このような小さなリフォームの失敗があちこちで起こるため、骨の中の隙間は少しずつ大きくなっていき、骨はとうとうスカスカになってしまいます。新品、かつスカスカ。これが閉経後骨粗しょう症のあらましです。
骨のセメントの成分を少し変えてあげることで(1週間に一度の薬もしくは月1回の点滴)、解体業者さんは仕事をしたら、ちゃんと撤収してくれるようになります。また骨に対してだけ女性ホルモンとして働く薬もあります。
まず検査をしましょう。検査結果に応じてお薬を正しく使えば骨粗しょう症は起こりません。また骨粗しょう症がおこって下がってしまった骨密度も復活します。
骨粗しょう症は、老化ではありません。病気ですらありません。お薬を使って安全に訂正することのできる“間違い”なのです。
骨の細胞
骨細胞 細い管を張り巡らせてお互いに結合して骨全体にネットワークを作っています。なんだか脳神経細胞みたいですね。
骨の解体業者さん
破骨細胞 元々白血球の一種です。骨細胞の分泌するRNNKL(破骨細胞分化誘導因子)の刺激を受けると子供の単球という細胞が大人の破骨細胞に成長します。通常の細胞に比べて非常に大きい細胞です。
骨の大工さん
骨芽細胞という名前の細胞です。骨の鉄筋コンクリートを作っていきます。工事が完成すると自分の作った骨の中で骨細胞になります。